その手に錠をはめるまで
「へえ、そう」
じゃあねと興味が失せたあたしが去ろうとすると、見捨てられた子犬のような顔をしながらあたしを見つめる。
「何?」
「久しぶりに会えたのにそれだけなの・・・・・・?」
そう言った聖は、初めて出会った時のような顔をしていて、たまらず抱き着いていた。
「そんな顔しないで、聖。
あたしは仕事が落ち着いたら会いに来るって伝えておいたじゃんッ」
それでも、たぶん人一倍寂しがりやな聖はきっと我慢できないんだろう。
大丈夫、大丈夫だよ。
そう伝えたくて抱きしめる力を強めた。
会ったあの日から変わらないこの体温に、心から落ち着いている自分と、もう会わないと決めていた人の内の一人とまた会ってしまったことへの後悔を募らせていた。
「俺、最初にこの仕事のことを聞いた時、ラッキーだって思ってた。
毎日響姫の顔が見れるし、だけど・・・・・・・」