その手に錠をはめるまで
もったいない。
今頃はきっとエリート部署まで一直線だったろうに。
「もうあたしを追いかけるような真似はしないで。
せめて、あたしのこの任務が終わるまで」
「無理だよ、そんなのっ」
「無理じゃない!!」
あたしの大きな声に驚いたのか、少し怯んだ聖にすかさず追い打ちをかける。
「もし聖との関係がバレてしまったらあたしはどうなるの?
あいつを見張るのにもすごい神経使うのに、あたしはそれをフォローできるほど大人じゃない!!
もし取り返しのつかないミスをしてしまったら・・・・・・?
あたしはRを捕まえるってことさえも諦めないといけないかもしれないんだよ!?」
「俺は、もうあんな思いはしたくないんだ。
だから、陰で見守るだけじゃなくて、今度こそ守らせて。
分かってる、全てが明るみに出たら俺が責任をもって排除する」
この人は分かっていない、あたしの本当の思いを。
大切だと思うから、こんな危ない橋を渡るようなところに置いておきたくなくて。
戻りたくなるから、こんなに傍にいてほしくなくて。
それででもついてくるっていうなら、もう知らないんだから。