その手に錠をはめるまで
別に憧れてなんかいない。
誰が憧れるか。
あんなっ、あんな奴・・・・・・。
少しうずうずしているように見せて、新入りらしさを出す。
「ははっ、分かった。
早く入れ」
門番のように立っていた男が言う。
うまく騙されちゃって、バカみたい。
あたしが女だっていうことにも気づかないなんて、ここの警備システムを・・・・・・Rがいるのかでさえ疑う。
「あっ、ありがとうございます!」
だっと走って中に入る。
外観はただの古びた洋館だけど、中はリフォームされたかのように綺麗だ。
あ、そっか、実際にここはリフォームされたんだったっけ?
その時、あたしのところにも連絡は入ってはいたけど、興味がなさ過ぎてスルーしていたんだった。