その手に錠をはめるまで
ここでやっと分かったのか、萌恵奈はあたしたちにすごいという尊敬の目を向ける。
確かにすごいのかもしれないけど、これくらい萌恵奈も気づけないと警察なんてやってられないから。
あたしたち2人は確かに感覚が鋭すぎるってこともあるのかもしれない。
だけどこれから警察になるっていうならこれくらいは分からないと。
加賀美リツがすぐそこにいたってことぐらいは。
訓練を怠っているからこういうことになるのだと肝に銘じてくれ。
「やっぱりあそこの部署にいるだけはあるんだね。
どんどん響姫との差が広がっていっている気がして、正直怖いよ」
怖いだなんて思わなくていいのに、むしろあたしは彼女を安心させたいのに。
それすらも叶わないなんて、あたしたちをこういう関係にしてしまったRがやっぱり憎い。
あいつのせいだ、あいつが、あいつさえ・・・・・・。
早く捕まえてあげなきゃ。
地獄以上を見せないと気が済まないから、とにかく首を長くして待っていろ。
「響姫・・・・・・、何であんたがそんな顔をするのよ。
私は、」
やんわりと首を振ってこのことで話すことなどないとはっきりさせる。
もういいから、だから。
萌恵奈はただここにいて笑っていてよ。
そうすればあたしはいつだって幸せだって、そう言っているでしょう。