その手に錠をはめるまで
ああ、あの時にきちんと見ておけば。
そうやって後悔していてももう遅い。
だから、これからのことを考えていくしかない。
「ねえっ、キミさぁ誰?」
あたしよりも少しだけ背が高い男が、かわいらしくあたしに問いかけてくる。
「あっ、俺は新入りです!」
「ふーん、そっかぁ。
キミ、女の子みたいだね?」
見透かされているようだけど違う。
気づかれるはずがないんだから。
「おっ、女の子って!!」
熱血バカみたいな感じに頬を火照らせて、大きな声で叫ぶ。
「ああ、ああ、ごめんごめん。
分かったから黙ろうかぁ」