その手に錠をはめるまで
『どうか、娘だけは。
私たちの命など、惜しくありません。
それなりのことを・・・・・・やってしまったのですから』
『はっ、戯言(ざれごと)を・・・・・・』
『あの人が、Rがっ、あんなことをやるはずがないんだ!!
仲間想いのあの人だから、あの人だから・・・・・・』
男たちの言葉には、恨みと悲痛さが見え隠れしている。
階段を下りきった少女は、男たちの顔を見る。
男たちは、そんな少女に気づかない。
ただただ、個室に入ってしまった彼女の両親を追い詰めている。
少女はじっと見つめる。
男たちは4人。
少女の両親は警察官だ。
人を捕まえることは、誰かを救うとともに、新たに悲しむものを出してしまう。
そういうものなのである。