その手に錠をはめるまで


あたし、なんでここにいるんだろ。


今更だけど、そう思い始めた。


要らない、よね?



「あのっ、俺なんかがこんな場所に来ていいはずがないと思うんでっ、帰りたいんですけど!」



大きな声で、男独特の少し低い声。


それでも低すぎることはないこの声は、あたしのお気に入りの声の1つ。


これくらいならあたしにも出せちゃうからね。



「う~ん、これからがいいとこだったのになぁ?」



いいとこも何も、帰りたいって言ったら帰りたいの!


イライラしながらあたしはバカになる。



「えっ、だってこんなすごいところ・・・・・・俺がいていいはずなんてないんです!!」



何こいつってなみのウザさを発揮するあたし。


めんどくさいよね、こういうキャラって。



「女みてぇな声してんなぁ?」



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