その手に錠をはめるまで


はい信じた~。


簡単すぎて、あっけなさすぎてなんだか笑えてくる。


“あのリツさん”っていうのが効いたみたいだ。



「ど、どこがおもしろいんですかぁっ」



普段のあたしならしない反応。


うん、絶対できない。



「全部」



リツとやらに返された答えは少し異質で。


だってまだあたしの全部を見てないでしょ?


口先だけの奴らってことだ。



「ルイ、そいつを入れること許可してやる。


早く押し込めて扉を閉めろ」



押し込めるって、言い方がえげつない。



「だってぇ。


なんだかんだ言って、リツって超優しいよねぇ~」



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