その手に錠をはめるまで
「お前、入れ」
沈黙を破ったのは、沈黙の原因の奴。
「入れって、何にですか??」
とりあえず、あたしの方を見て言っているのだから聞くことにしよう。
「・・・・・・今ならまだ間に合うよ?」
間延びしないルイの声が聞こえてきて、あたしは若干驚きながらもルイを見つめる。
何に間に合うっていうの。
「そうだ。
まだ、間に合う。
この世界をよく知ろうとしない奴が入れば、痛い目にあうのは確実。
お前はきっと弱そうだし、入らない方がいい」
いや、あのさ、まだあたしの実力なんてもの見てないでしょ?
リツの言葉にムッとして、あたしは顔を赤くする。
「っ、弱そうって、なんでですか!
そりゃあ、平均よりも背は低いですけど!」