その手に錠をはめるまで



「だいたい、ここはただの集まりだ。


幹部だからって、何もすることはない」



リツが呟くように言う。


何もすることがないって、何もしなくていいの?



「お前を幹部にしたことに反対するのはもちろん、俺たちに歯向かうような奴が出てきたら、壊すしかないけどな」



安心できないんだけど。


むしろリツの言い方だったら、逆に心配になる。



「それとぉ、呼び捨てにしてくれていいからねぇ~?」



「そんなっ、恐れ多くてできませんよ!」



あたしが言うのにルイはなおも詰め寄る。


ああ、めんどくさい。


この押し問答、いつまで続くかな?



「呼べ」



< 37 / 169 >

この作品をシェア

pagetop