その手に錠をはめるまで
「お前の名前」
いやいやいや、あたしの名前は“レイ”なんかじゃないよ。
「はー、ラン、こいつ全然分かってないから」
そりゃあ、分からなくて当然じゃない?
リツの言葉にイラッとしながらも、心の中で悪態をつく。
「キミの名前を言いたくなければぁ、“レイ”って呼ぶってことだよぉ~?」
「・・・・・・えっと、じゃあそれで」
レイ、か。
レイ。
うん、気に入った。
「よし、じゃあ今日は解散だ」
リツの言葉で、あたしは部屋から出た。