その手に錠をはめるまで
錠2
「はあっ、はっ、・・・・・・っく」
「てめっ、強すぎだろぉっ」
息切れをして1人を見つめる複数の男たち。
漆黒の髪をした綺麗な男が、彼らを上から見下ろす。
「だれっ、だよ」
「こんな、はっ、奴、見たこと、ねぇ」
息も絶え絶え、彼らはささやくように呟く。
「さあ。
俺が俺であることを分かっていれば、他人に認識してもらわなくても構わないから」
遠い目をして、だけど力強い目が、彼らを見下ろす。
濁った漆黒の瞳が揺れる。
「なんでこんなことをした」
漆黒の男が彼らを問いただす。