その手に錠をはめるまで
『響姫ちゃん、響姫ちゃんっ』
名前を呼ばれた少女は、真っ白なそこにいた。
音が鮮明によみがえり、両親の死を思い出させる。
いいや、まだ死んでいないのかもしれない。
その思いにかけて少女は名前を呼んだ女性に問う。
『お母さんと、お父さんは・・・・・・?』
それを聞いた女性は答える代わりに目を伏せた。
『そ、っか。
あたし、死にたい』
呟かれた言葉に、病室にいる大人たちは慌てふためく。
『ダメだ、生きるんだよ、君は!』
『お母さんもお父さんもいないのにっ、あたしにそれでも生きろって言うのっ!?』