その手に錠をはめるまで


だからこそ、あたしはここにいる。


警察という立場は全てにおいて制限されるけど、それでも譲れないものもある。


お母さんもお父さんも必要悪にやられた。


だったらあたしは、みんなが言う“正義の味方”になってやる。



「ああ、それもそうだな」



呟かれた言葉はなぜだかしみじみとしていて、この先待ち受けているイヤな予感というものがぬぐえない。



「この話はもうおしまい」



「ああ、もう終わりにしよう」



雨の顔は少し歪んでいて、それでいて・・・・・・。



「今更だけど、俺は響姫に辛い思いをしてほしくない」



今更、ホントに今更だ。


そんなことをあたしが聞けると思っているの?



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