その手に錠をはめるまで


雨が何を考えているのか分からない。



「・・・・・・初めに決めたよな」



何を?


あたしの分かっていなさそうな表情を見て、雨は続ける。



「『俺はお前が死んだってかまわない。


ただ、それが終われば俺はお前の全てをもらう。


お前の死さえも俺のものにする』


俺は響姫にこう言っていた。


だけど、俺はっ」



「『あげるよ、全部』


前も言ったよね?


あげるよって。


だけどそれにはあたしの成功と、あなたの協力がいるって。


今更何を迷っているの?


あたしは雨とならどんなことでもできるし、雨じゃないとダメなの。


雨が教えてくれたんでしょ?」



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