その手に錠をはめるまで
ルイって第一呼びにくい。
あたしが名前で呼ぶのは、ごく親しい人たちだけ。
萌恵奈に昴、それに雨。
こんなところに来なかったら、あたしはそれくらいの少人数の名前しか呼ばなかったのに。
まあ、3人だけじゃなくてまだいるっちゃいるけど・・・・・・。
「あぁ~、“ルイさん”って呼ぼうとしたでしょぉー」
ああ、この声、鼻につくんだった。
間延びしている声は、あたしにとってイライラする対象でしかない。
「っ、俺やっぱりルイって呼びにくいです」
バレたかみたいな感じに、少し言葉を詰まらせる。
うん、完璧。
「レイ、キミも奴らと同類かな?」
呟かれた言葉をあたしは聞き返してみる。
「? 何か言いましたか?」
「んー?
なんでもないよぉ?」