その手に錠をはめるまで
なんでもないことはないでしょ。
まあ、聞いていたらいけなかったことってことだ。
しっかり聞いちゃったけど、あたしは聞かなかったふりを貫き通す。
「ええっ、気になるんですよ!
何言ったんですかあ!」
うん、いいキャラだ。
だいぶ定着してきた。
あたしの中でも、この人たちの前でも。
「ふふっ、キミ嘘がつけないタイプだねぇ~」
いや、絶賛嘘つき中ですが。
「なっ、俺だって嘘の1つや2つくらい・・・・・・」
このキャラだったら無理に決まっているけど、ね。
「はいは~い、分かった分かったぁ。
もう黙っとこーねぇ?」
むっとした顔をして、あたしは話すのを我慢するふりをする。