その手に錠をはめるまで
「ぷっ、別に話してもいーよぉ?
ごめんごめん、いじめすぎちゃったかなぁ~?」
くぅっ、なんかムカつく!
「・・・・・・」
別にいいよ、そっちがその気なら!
あたしは無視を決め込んで奴を置いて足早に行く。
「あーあぁ、ちょっとぉ待とうよ~」
誰が待つか。
置いて行かれた奴を振り返ってみる。
「えっ、いないっ?」
『どんな時でも気を抜くな、気を抜けば終わりだ』
気なんて抜けないよ、あなた以外の前じゃ。
どんなに驚くことがあったって、あたしは今のキャラを忘れない。
声を低くして呟いた言葉だ。
でも、本当にどこへ行ったんだろう。
見失うだなんて、もう気を抜いているってことだよね。
「どうかしたぁ~?
ずいぶん前を行っていたようだけど、どうして急に立ち止まったのぉ」