その手に錠をはめるまで



「ぷっ、別に話してもいーよぉ?


ごめんごめん、いじめすぎちゃったかなぁ~?」



くぅっ、なんかムカつく!



「・・・・・・」



別にいいよ、そっちがその気なら!


あたしは無視を決め込んで奴を置いて足早に行く。



「あーあぁ、ちょっとぉ待とうよ~」



誰が待つか。


置いて行かれた奴を振り返ってみる。



「えっ、いないっ?」



『どんな時でも気を抜くな、気を抜けば終わりだ』



気なんて抜けないよ、あなた以外の前じゃ。


どんなに驚くことがあったって、あたしは今のキャラを忘れない。


声を低くして呟いた言葉だ。


でも、本当にどこへ行ったんだろう。


見失うだなんて、もう気を抜いているってことだよね。



「どうかしたぁ~?


ずいぶん前を行っていたようだけど、どうして急に立ち止まったのぉ」



< 69 / 169 >

この作品をシェア

pagetop