その手に錠をはめるまで


それには何も反応できない大人たち。



『生きる意味なんてないのに、なんで生きなきゃいけないの?』



しばらくの沈黙が続いた後、1人の男が言葉をかける。



『・・・・・・俺が、俺がお前を引き取る。


だから生きるんだ。


響姫ちゃん、お父さんたちに何か言われなかったか?』



その瞬間、少し顔をゆがめた少女。



『でもっ、だって・・・・・・っ』



頭をなでられた少女は涙をこぼす。



『響姫、君が死ねばどれほどの人が悲しむか分かるか?』



もはや呼び捨てにもかかわらず、少女は目を伏せる。



『分かんないよっ。


お母さんもお父さんも死んじゃって・・・・・・、2人しか愛してくれないもん!


必要とされなきゃ、意味がないもんっ』



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