その手に錠をはめるまで
ねえ、分かる?
警察としての本能がね、すごく胸をくすぶるんだよ。
捕まえる警察と、逃げる被疑者,囚人。
「ルイ、どうやってんのそれ!」
聞かせて教えて、そう言うように彼のもとへ駆けつける。
キラキラと目を輝かせて、ルイ、ルイと慕う。
さっきのあの犯罪者のごとき芸当。
むろん、ごときでは済まされないかもしれないけど。
「ちょっ、キミなんでっ」
ぐいっと詰め寄ったあたしに、ルイは困惑を隠しきれないかのように後ずさりを始める。
「どうやったんですか、教えてください!」
もともとあった知識欲をより加速させる。
「そんなに近づかないでくれないかなっ」
対人恐怖って、こういうことを言うのかな?
あたしに対して怯えを見せている彼。