その手に錠をはめるまで



「そういうことじゃなくてっ」



先に気に入ったのはそっちなのに、どうして今更手のひらを反すようなことを。



「だって俺、ルイに気に入られなかったら今ここにいないです」



なんでここまでルイに真面目に向き合っているんだろう。


あたし、こんなことをするような人じゃないよね?



「おい」



そんな時、ここにいるはずのない人の声が響く。



「っラン!」



ぱっと弾けたようにランに抱き着いたルイはよほど怖かったんだろう、ランにきつくしがみついているかのようだ。



「どうした」



「バレそうになったんだよぉっ、存在自体が!」



その一言でランは分かったかのようにうなずいた。



「お前、もう見抜いただろ」



あー、なんだバレていたんだ。



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