その手に錠をはめるまで
『響姫、俺にはお前が必要なんだ。
だから生きてくれ、頼むっ』
苦しげな顔をしたその人は、響姫に懇願する。
『あの人たちも、それを1番に望んでいるはずだ』
『・・・・・・』
無言になった少女は、少ししてから口を開いた。
『・・・・・・聞かないの?』
『聞いてほしいのか?』
違うとでも言うように少女は首を振る。
『おじさん、警察の人でしょ?
ううん、ここにいる人みーんな、警察の人なんでしょ』
確信めいた少女の言葉に、この場にいる誰もがうなる。
『やっぱり、敏幹(としき)と沙世子(さよこ)の子だけあるわ』