その手に錠をはめるまで


よくないよ、弱い自分に気づかされるだけじゃん。


情報が手に入ったとしても、あたしに何ができるかだなんて知ったこっちゃないし。



「はいっ、嬉しすぎますよ!」



あたしのその言葉に、急に盛大な笑いが漏れた門番の人。


やめてよ、そんなに大きな声で笑わないでって。



「ふー、笑った笑った。


でも気を付けろよ・・・・・・」



先に行くと言って入っていった彼らを横目に見ながら、その門番は言う。



「あの人たちは残酷だ。


尊敬はするが真似はできない、そんな人たちだってことを忘れるな・・・・・・」



遠い目をした門番は、何かを分かっているかのような、そんな雰囲気を醸し出していた。



「残酷、ねぇ」



あたしが知っているその言葉は、奴らに対して使うものだ。


それ以上の残酷だなんてあたしは知らない。



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