その手に錠をはめるまで
「ここだ」
下を向きがちに歩いていたあたしは、見覚えのない扉に眉をひそめた。
ここ、前ルイが教えてくれた部屋じゃなかったりする?
怪訝そうなあたしを見てか、彼は補足をする。
「以前お前が来た部屋には2つの出入り口と3つの隠し扉がある。
ここはその部屋の1番大きな扉だ」
そう言ってギィッという音を付けて開いた扉の中は、前と変わらない真っ暗な部屋。
覚悟はしていたけど、前の時と大して変わらない暗さ。
「入れ」
その言葉とともにルイがあたしの背中をポンと押した。
つんのめってしまったけど、持ち前の運動神経でカバー・・・・・・できそうにないや。
迫りくる衝撃を覚悟する。
だけど、その衝撃はやってこない。
「危ないだろーが」