その手に錠をはめるまで
この声・・・・・・リツ?
「ありがとうございます!
助かりました」
とりあえずお礼を言う。
「おい、その前にどけ」
・・・・・・すみませんね、重いんですかねあたし。
とりあえずまた何かを言われるのは嫌だから、急いでリツの腕の中から抜け出した。
「危なっかしいんだよ、お前」
ふっと笑いながらそう言ったリツ。
あれ、その前にいつからここにいたの?
「あの、そういえばいつからそこに?」
「ずっとこの部屋にいた」
ああ、部屋が暗かったから見えなかったのか。
でも、普通は気配くらい感じるはずなのに。
どうして感じなかったのかな。
自分の弱みが、一種の盲目状態を引き起こしたのか。