その手に錠をはめるまで


それでもそれ相応の訓練はやってきたはず。


やっぱり、リツの特技・・・・・・としか思えない。


ルイのようにわけがありそうな感じはぷんぷんするけどね。



「いいから入れ」



静かな声に催促されて、あたしは部屋の中に入った。


パチッと電気がつく音がして、部屋が明かりに包まれた。


まぶしいから、急につけないでほしい。


光に慣れてきたころに、周りを見渡してみる。


やっぱり大きな机がある。


茶色だと思っていた机は真っ黒で、拍子抜けした。


でも、この色はまあまあ好み、かな。


あたしが世界一大っ嫌いな色は、淡くて黒の混じった水色だ。


それが1番嫌い。


その色は悲しみの色だから。



「ほら~、そこに座りなよぉー」



「はいっ、じゃあ座らせていただきます!」



あたしはすぐ近くにあったイスを引いてから座る。


ふかふかのイスで、なんだか気持ちがいい。



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