その手に錠をはめるまで
それに加えて、ばつが悪そうな顔であたしを見ている。
虚しすぎるからね?
「レイ、大丈夫だ」
いつの間にか席を立ってあたしのすぐ近くまで来ていたランが、あたしの肩にポンポンと手を置く。
「襲名式なんて、初めから存在すらしなかったんだ」
真顔であたしを慰めてくれているラン。
でもなんだろう、すごく気を使われている気がしないこともない。
絶対襲名式がなかったことはないと思う。
周りのみんなもそうだそうだと、顔で言っている。
ムカつくのは無理もないよね。
「みんなしてなんなんですか~!」
あたしの大きな叫び声が響き渡った。