その手に錠をはめるまで
誰かが呟き、みんながうなずく。
『響姫ちゃん、警察に興味ない?
なんだったら、うちの課に入ってよ』
冗談交じりに言う彼女の言葉に1番反応したのは、あの男だった。
『馬鹿を言うなっ。
敏幹はそんなこと望んでいなかっただろうが!
自分の子供はこんな世界に引きずり込みたくない、って』
『わ、分かってるわよ、櫻井(さくらい)くん。
でも、有望じゃない、この子』
『いつか、自分で選んでこっちに来たときは・・・・・・、その時は歓迎しよう』
櫻井と呼ばれた男は、ため息交じりに呟く。
『響姫ちゃん、櫻井くんに育ててもらいなさい。
櫻井くん、これでも響姫ちゃんと同い年の子がいるのよ』