その手に錠をはめるまで


スマホ越しに聞こえてくる昴の声にヤバいと危機感が募ったあたしは、結局学校に行かないといけなくなった。



「萌恵奈、学校行こっか」



こうなることも全部予想済みなんだろう、昴は。


そう思うとやっぱりムカついてきて、今すぐにでも殴って来たくなる。


まあ、するわけないけど。


面倒くさいし。



「うんっ、それにしても響姫似合ってるじゃん、制服」



「お世辞ありがとう。


行くよ」



萌恵奈の言葉を軽くかわして、大した荷物も入っていない鞄を持つ。


それでも鞄を持って行くのは、浮かないようにするためだ。


まあ、そうは言っても似合わない制服姿が浮いてしまうかもしれないんだけど。



< 93 / 169 >

この作品をシェア

pagetop