その手に錠をはめるまで
もちろん、あたしが男装していたことはバレないけど、学校はプライベートだと思っているあたしに仕事が増えるのはつらい。
「加賀美リツです。
これからよろしくお願いします」
そうこう思っているうちに、リツは自己紹介をしていて。
LOCKでの俺様感はなんだったんだと言ってやりたい。
まあきっと、自己紹介くらいはきちんとやろうって思ったんだろうけど。
「席は1番奥の窓際です。
周りの人たちはサポートしてあげてくださいね」
あいにく、リツはあたしの席からそう遠くないところである。
普通を目指して近づかないと、勘がいいリツには目的まで見据えられそうだからな。