その手に錠をはめるまで


女という生き物は美形に弱い。


まあ、手っ取り早く言えば、リツに媚びる女はたくさんいるわけだ。


だから、リツにとっては媚びらない女こそ普通ではない。


つまり、あたしがその他大勢になろうと思ったら、イヤイヤでもリツに媚びなくてはならないのだ。



「よろしくなっ」



「リツ様ぁ、よろしくで~す」



そんな声が飛びかう中、リツは無言のままだ。


何も言わないかと思ったら、リツが口を開く。



「ああ」



たったのこれだけで沸く歓声。


あたしもキャーキャー言っているけど。



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