君じゃなきゃ
「……真沙、起きろ。帰る。」
体を揺すられて気付いた。
しまった!私飲み潰れてしまっていた!?
……あぁ……しまった……。
「あー、……やばい私、寝てた……。」
「真沙、歩けるか?」
拓海の優しい声にますます自己嫌悪におちいった。
「あー、うん、……ごめん、ごめん、……大丈夫だから。」
って、私なにやってるんだ……!
もー、最悪……。
店の外に出ると夜風が気持ちよかった。
ベンチがあったから座り込んだ……。
……やだ、……もお、……私、最悪……。
なんか座ってられなくてベンチになだれ込むように倒れた。
涙が出そうだった。
ベンチが冷たくて気持ちよかった……。
すーっと、酔いが冷めていくようだった……。
……ん、膝に何か掛けられた……。
「真沙、水飲めるか?」
拓海の優しい声が聞こえた、だめだ、涙が出そう。
「……あ、うん、……飲む。……ありがとう。」
すると拓海が私の両肩を抱くようにして起こしてくれた。
……ダメっ、こんな顔恥ずかしくて見せられない……
少しの間、私は顔をあげられなかった。
でも、いつも通りにしよう!そう、頑張って!
顔をあげて、涙がこぼれないように深呼吸をした……。