強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
「お前はここに居れば良い。」
「けどっ!」
「そんなにくっつくな。襲うぞ。」
「えっ!?」


私は咄嗟に桐島部長から離れた。


「冗談だ。」


そう言ってクスリと笑った桐島部長の顔はとても綺麗だった。


「アイツは俺達の会社を知ってる。今は会いたくないんだろ?」



そうか。
桐島部長は私を連れて行きたくないんじゃなくて、私を想って言ってくれてるんだ。
あー、私はなんて、ほんとにバカなんだ・・・・・


「待ってます。ここで。部長のお帰りを。」
「あぁ、行ってくる。」


そう言って桐島部長は、また私の額に優しくキスをした。
風に乗って薫る部長の香りに、私の心は落ち着いて行った。




一人になり、奏汰のことを考える。
部長の言葉が耳に残る。


奏汰が私を愛している・・・
今までの人生、奏汰に愛されていると実感したことは一度もない。
ただ、私に構って、私の保護者的存在であったことは確か。



初めて高校生になって、告白された時も、その男の子に、『楓はお前には不釣り合いだ』とかなんとか言って、私から遠ざけた。
事あるごとに、私と男の子の間に割って入っては、関係を壊して来た。


それもこれも、奏汰が私を、妹か家族としてしか見ていないからだとばかり思っていた。


奏汰の隣にはいつも綺麗な女の子が居たから。
私とは掛け離れた女の子が。

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