強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
「桐島部長っ!!」
「何だ?」
「どうして、ここに?」
「お前が残業していることは周知のことだろ?」
「いえ、そうではなくて、どうして私は桐島部長の車に乗ってるのかなぁって。」
「嫌なのか?」


そう言って私を見詰めたその瞳に、私は吸い込まれそうになった。
奏汰が迎えに来てくれることも、すっかり忘れてしまった。


「嫌、とかではなく。送って頂く義理はないかと・・・それに私のせいで、部長に大損させるところでしたし。」
「あぁ、あれは困るな。以後、ああいう失態はするな。それを挽回するためにも、こうやって終電を逃すまで残業したんだろう?」
違うか?


桐島部長は、そう言って車を発進させた。


「腹空いてないか?何か食べたのか?」
「いえ・・・」
「この時間だ。大した店は開いてない。それでも良いか?」


桐島部長は部で冷酷、非情と言われていた。
私も部長に呼ばれる度、びくびくしていた。
今日だって、悪いのは私だとわかってはいたが、皆の前であぁも怒られると、立ち直れなかった。


そんな部長の優しい一面が、私の心を震わせた。


ブーブーブーブー


鞄の中、携帯が鳴った。
着信画面に〈奏汰〉の名前。


「あ・・・・・」
「どうした?」
「迎え、来るんだったんです。」
すみません。


と、一言断りを入れ、電話に出る。




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