強引なキスで酔わせて【完結】～二人のその後　更新中
「おかえりなさい、って、楓さん、外は雨なの？」


家に帰れば、濡れた私を見て、お母様が心配してくれた。


「いいえ、雨は降っていません。ちょっと・・・」
「もしかして、麗奈さんかしら？」
「え？」



お母様の口から出て来た名に驚いた。
もちろん、２年も凌さんと付き合っていたんだから、麗奈さんの存在を知っていてもおかしくない。
けど、今の私の状況を見て、この仕業が麗奈さんだとどうして気付いたんだろう。


「この１ヶ月ね、何度も何度も家にまで電話が掛かって来てるのよ。」


お母様は大きな溜息を吐いて、話し出した。


「凌には楓さんには黙っておけって言われたんだけど。あなたにまで実害が及ぶなら話さずにはいられないわね。」


凌さんの彼女だった麗奈さんは、どうしても凌さんを忘れられず、この家にまで電話を掛けて来ているらしい。
凌さんは私と付き合う少し前、携帯電話の番号を変えたからだった。
そんなことなんか、ちっとも知らない私は暢気に凌さんの傍で幸せだけを感じさせて貰ってた。


「楓さん、あなたは何も心配しなくても良いのよ。これは凌と麗奈さんの問題。凌にしっかりケジメを付けさせなきゃ。けど、楓さんにまで被害が及んだなんて、凌に報告するわね。」
「いえっ、お母様。それは良いんです。出張先で心配を掛けても申し訳ないので、黙ってください。帰って来たら私から話しますから。」


お母様は何度も何度も私に謝ってくれたが、私にはそれが本当に申し訳なかった。



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