mariage~酒と肴、それから恋~《3》
唇への長いキスのあと、耳に、首筋に、熱い吐息とともにキスが降ってくる。


「皐月にまた会えるなんて思ってなかったから、嬉しいよ」

唇を這わせながら呟き、強く私を抱きしめた。


「…私も」

はだけたシャツの肩ごしに、揺れる天井を仰ぐ。



ずっとこうしたかった。

でも、あの頃はできなかった。


曖昧なフェードアウトで、くすぶったまま残った杭のような未練が、この一晩で燃え尽きたらいい――……


そういうことができる大人になった。

昔は苦くて飲めなかったウイスキーがいつの間にか美味しく飲めるようになったみたいに。


カーテンの隙間から薄明かるい光が差し込み始めた明け方。


隣で寝息を立てる三井くんの顔がはっきり見えるようになった。

うーんと唸って寝返りを打ちながら甘えるように素肌を擦り寄せてきて、また深く眠りにつく。


覆い被さった腕をすり抜けて、三井くんを起こさないように、部屋を出て家に帰った。
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