mariage~酒と肴、それから恋~《3》
「直接、聞かされたくなかったから、帰ったんだよ…」

語尾がかすれる。


自分で思ってたより、私、ショック受けてたんだ。

バカだ。

燃え尽きるどころか、また好きになってしまいそうじゃないか。


「三井くん、土曜の夜の事は、忘れよう?私たち、大人なんだし」

顔を背けたまま、苦し紛れに大人の対応する提案をした。


「皐月、違うんだ」


「何が」


「化粧水使ってるの俺」


弾かれるように顔を上げると、三井くんは恥ずかしそうに口元を手で覆っている。


「え?女物の化粧水を??」


キョトンとしたら、益々恥ずかしそうな顔をして、頬を指で掻くような仕草をした。


「乾燥するようになったんだよ。30過ぎてから、頬とか。すごいカサカサして。

前付き合ってた子が置き忘れてった化粧水、試しに使ったら良くなったから、たまに肌荒れしたときに使ってる。
買ったのは俺だから、返す必要もないかな、と思って」


「…そうなの?」
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