mariage~酒と肴、それから恋~《3》
「男用で良いものあるかな?俺、肌に塗る系のものよく分からなくて。たまにしか使わないし」


絶句してしまった。

嘘…。彼女いるって思い込んでた。

まさかの展開に頭の中がついていかない。


「信じるか信じないかは自由だけど、彼女はいない」


「嘘…」


「嘘じゃない。それよりすごいショックなんだけど。俺のこと、彼女いるのに他の女連れ込むような男だと思ってたってこと?」

ふてくされた表情でも、私から目を反らさない。

三井くんの視線は真っ直ぐで、強くて、心臓がドキドキした。


「ごめん、だって…」

首を振りながら、言葉が上手く出てこない。


三井くんは腕時計を確認して、

「てかヤバ、仕事戻る。とにかくまだ話あるから、仕事終わったらうちに来て」


鍵を渡してきた。手のひらを差し出して受け取る。


また好きになってもいいってこと?


「今度逃げたら許さないからな」


「――はい」

素直に返事すると、


「よし」

満足げに、私の頭をポンポンと撫でた。
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