mariage~酒と肴、それから恋~《3》
「モンブラン?」

三井くんは、不思議そうな顔をして聞いてきた。


「ハイボールに合うんだよ」


「そうなの?」


「まあまあ、騙されたと思って合わせてみてよ」

言いつつ、スプーンでモンブランをひとすくいして「あーん」と三井くんの口元に持っていく。


素直に口をあけて、モンブランを食べる三井くん。

続けてハイボールを飲み、ぱちっと目を見開く。

「美味いな」

新しい発見をした喜びに満ちた顔だ。


「でしょ、でしょ♪」

わかってもらえて嬉しい。


モンブランの甘い後味の中に感じる洋酒の香り。

ウイスキーのコクと樽の香りが後を追うように鼻に抜ける。

広がる余韻。


「ウイスキー飲みながらモンブランなんて考えたことなかったな~。ミックスナッツとかジャーキーとかしか思いつかなかった」


「ほらほらもっと食べて」

あーんして勧める。

ふと思ったけど、あーんなんて、付き合ってるときしなかったなぁ。
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