翼をなくした天使達
考えてみれば今日1日ジャージで過ごすとか恥ずかしい。一応先生には伝えたけど教室でもなんか浮いちゃってるし。
「あれ?橋本はどうした?」
数学の先生が空席を見つけて名前を呼ぶ。
「知りませーん。トイレじゃないですかぁ?」
「橋本さん生理痛がひどいらしいでーす!」
クスクスと笑う一部の女子達。クラスのみんなは慣れた事のように無反応だった。
橋本まりえ。きっかけは知らないけどある日からいじめられるようになった。陰口を言われたりノートを破かれたり。小学生みたいないじめだけどそれは日に日にエスカレートしてる気がする。
見て見ないフリが上手くなったのは私だけじゃないはず。
「ねぇねぇ紺野さん。数学得意だよね?今日当たるから教えて」
ツンツンとしてきたのは後ろの席の女の子。
「うん。いいよー」
「本当?ありがとうっ!ってかライン交換しない?紺野さんってデコってる小物いっぱい持ってるよね!私も好きなんだ」
「そうなの?私はほとんど自分でやってるよ」
「まじ?すごいね~!今度教えてよ!馴れ馴れしいけどあかりって呼んでいい?私も名前でいいからね」
毎日学校は楽しい。
友達も増えていくし橋本さんをいじめてる女子達とも普通に話したりするし。小学校も中学校もそれなりに満喫していた気がするけど多分今が一番充実してるかもしれない。