翼をなくした天使達


「とりあえず服着ろ。まぁお前なんかの下着見ても何とも思わねーけどな」

「な、な…」

反論しようとしたけど再びカーテンが半分閉まってどうやら今着替えろという事らしい。こんな奴に従いたくないけどこのままでいるわけにはいかないし……

私は素早く制服に着替えると合図もしてないのにまたカーテンが開いた。

「のろま。本当お前ってトロいよな。色々と」

何故か暴言を吐かれる私。

ってかなんなのこの人?朝はグズとか言われるし今はトロい?なんで初対面の人にそんな事言われなきゃいけないの?

「ったく、お前のせいで風邪ひくし最悪」

なんで私のせい?雨に濡れたから?そんなの傘ささない自分が悪いし私も誰かさんのせいで風邪気味なんですけど。

「そもそもあなた誰?今朝は私に何の用があったの?」

「用っつーか確認?本当になにも覚えてないのかどうかの」

「だから覚えてないって何が?
……ってか名前蒼井翔也で合ってる?」

「そうだけど?」

美保が言っていた通りこいつは1組の蒼井翔也で決定。名前が分からないのは気持ち悪いから良かったとして…さて次の問題だ。

「今朝も言ったけど何を言ってるのか分からないんだけど。私あなたとは初対面のはずだけど…違うの?」

1年の時のクラスメイトではないし同じ中学出身でもない。もしかしたら廊下とかですれ違ったりしてるかもしれないけどこんな目立つ人なら記憶にあるはずなんだけどなぁ。

「初対面だよ。話した事もねーし、お前の名前も2日前に知った」

だよね。私の勘違いじゃなかった。
……ん?だとしたら尚更おかしくない?


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