翼をなくした天使達

私はそのあとすぐに図書室へ行った。

図書室には歴代の卒業アルバムが置いてあってきっと去年のもあるはず。指で確認しながら年度を調べて私はアルバムを手に取った。

教員の紹介から集合写真を通りすぎて１組から順々に調べていくと保坂幸成はすぐに見つかった。

……やっぱり昨日の人だ。

先生の言っていた通り１９代目生徒会長と記載されているし間違いない。他にも昨日一緒にいた不良を探したけど見当たらず、保坂以外はここの卒業生ではないようだ。

「あら？紺野さん」

振り返るとそこには保健室の先生がいた。

返却しにきたのか手には数冊の本。そういえば保健室には何冊か本が置いてあるっけ。

「もうすぐ授業始まるわよ」

時計を見るとチャイムが鳴る５分前だった。

「先生、この保坂って生徒どんな人だったか覚えてます？」

「保坂君？もちろん覚えるわよ。入学した時から学校始まって以来の秀才だって言われてて確か全国でも５本の指に入る有名な大学に行ったはずよ」

なのにタバコを吸って不良と友達？
ますます結び付かない。

「学校でその…何か事件を起こしたとか変わった事ってなかったんですか？」

あの一緒にいた不良達は間違いなく盗難と落書きに関わっている。保坂って人はどうだか分からないけど、あんな女性ものの財布を持っててなにも言わないって事は恐らく加担してると思うんだけど。


「うーん、事件っていうかちょっとだけある生徒と揉めた事はあったかな」

「ある生徒？」

先生は言いにくそうな顔をしたけど、私がさらに待つと渋々教えてくれた。