翼をなくした天使達
「それなら写メ見せましょうか?昨日一緒にいた不良達が財布やらスプレーやら怪しい証拠持ってたので念のために撮ったんですよ」
「え……」
「多分そこにくわえタバコしたあなたの姿も写ってますよ?ちょっと待ってくださいね?」
私はポケットからスマホを取り出した。画面をスクロールさせてみんなに向けようとした時、はじめて保坂が動揺した。
「ま、ま、待って待って。そもそもいきなり出てきてなんなの?写真なんていくらでも捏造できるし全然そんなの証拠にならないよ?」
ゆっくりとした口調がいきなり早口に変わった。
よほど自分の築き上げた信頼を落とすのが嫌なのか、やっぱり意見を周りに求める。
「なんとか言ってやって下さいよ先生。ただの交流会の件で来ただけなのにこんな事に巻き込まれるなんて……」
今度は被害者面。
「えっと……君は紺野さんだっけ?あまり確証のない事で騒ぎ立てちゃ駄目だよ。事件の犯人は今警察が調べ……」
校長先生が私達の間に入ってきたけど私はそれを押し退けた。
「犯人になるのが怖いの?犯人じゃない蒼井を犯人に仕立てあげたくせに?」
私の視線は保坂から反れる事はなかった。