翼をなくした天使達
「じゃぁ、蒼井君が犯人じゃないって証拠は逆にあるのかな?」
保坂もまた私の目を反らさなかった。
周りに味方がいるからまだ強気なんだろうけど、腕を組んだり指先を無意味にいじったり、
挙動不審な仕草は隠せてない。
「証拠?証拠もなにもあの日私と蒼井は一緒に居ました。事件が起きる前に一緒に帰ってるしちゃんとその背中を見送った。だから犯人は蒼井じゃありません」
周りが動いてくれないなら自分で動くしかない。
今まで人目を気にして蒼井との事も後から何か言われるんじゃないかっていつも誰もいない場所で話してた。
私は私の評価が気になるしそれはこっちの世界でもそう。周りから悪く言われたり噂を流されたりそんなのはうんざり。
だけど私は蒼井に言われた。
勝手にいなくなってく奴らなんて追いかけるなって。そんなのお前から捨ててやれって。
本当にその通りだよ。
どうしたら嫌われないか考えるより、
どうしたって嫌いになれない人を。
変わったものを見つけるより、変わらないものを見つける方がずっと大切なんだって私は遅いかもしれないけどここで学んだ。