翼をなくした天使達



「はは、そんなのはなんの証拠にもならないよ?
君も共犯者って可能性もあるし第一俺がそんな事をする理由がない。そうだろう?」

なんで保坂が不良達に頼んでまで事件を起こして、それを蒼井のせいにしたのかずっと考えてた。

頭脳明晰で結果も出していて尚且つ信頼も手に入れているのにどうして蒼井にこだわる必要があったんだろうって。

「羨ましかったんでしょ?」
「え……?」

「蒼井の事羨ましかったんじゃないの?」

保坂は蒼井に「恵まれてる」と言ってた。きっと自分とは正反対なのにその恵まれた環境を知って嫉妬していたんじゃないかって思う。

「う、羨ましい?俺が?」

「そうだよ。自分は沢山努力してるのにって一方的に蒼井の事嫉妬してたんでしょ?」

「ま…ま、まさか。はは。なんで俺があんな奴の事……」

「さっきは話した事もないって言ってたのに?」

「そ、それは……」

先生達も野次馬のように見ていた生徒達も困惑していた。こんなに余裕がない姿ははじめてって顔をしてる。

本人もそれに気付いてヤバいと思ったのか今度は私の事を責め始めた。

「君の言ってる事は全部おかしいよ。公衆の面前で俺を犯人に仕立てあげようとして一体なにが目的なの?どうせ目立ちたいとか下らない理由だろ?こんなの名誉毀損もいいところだよ。君こそ警察に行った方がいいんじゃないの?」

───その時、誰かが私の肩をポンッと叩いた。


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