翼をなくした天使達
「……沙織もうこんな事やめ…」
「は?沙織とか呼ぶなし。もうあかりはそっち側なんだから気軽に話しかけないでね。みんなにも言っとくから」
これがどんな意味なのか私には分かる。
「沙織前に言ってたじゃん。自分の事苦手な人がいても沙織は仲良くしたいって。あれは嘘なの?」
「嘘じゃない」
「……じゃぁ、」
「私の事が嫌いなのは許せるけど、
私が嫌いな奴と仲良くするのは許せない。
裏切りだよ。あかり」
ジリジリと私に詰め寄る沙織。そしてその凶器のような目で私を見下ろした。
「あかりは私が嫌いなの知ってて橋本と友達になった。それで……いじめをチクったのもお前だろ」
敵を見る目。
蒼井が言うお前とはぜんぜん違う。まるでナイフみたいに鋭くて名前すら呼ぶ価値がないと言われてるみたいだ。
なんで学校という空間はとても狭いのに、誰かを蹴落としたり誰かを傷付けないと気が済まない人達がいるんだろう。
どこへ行っても一緒。
いじめを終わらせる方法なんてどこにも………
「じゃ、私の事もみんなに言っていいよ」
教室で響いた声にみんなが振り向いた。