翼をなくした天使達

「あーなんか急にお腹空いてきちゃったよ」

美保は肩の力が抜けたからなのかまだ１時限目なのにそんな事を言っている。

確かに私も気が抜けちゃった。すると橋本さんがカバンの中を突然漁り始めた。

「……あ、私チョコレート持ってるよ。良かったら………」

「えーこれ今限定のやつでしょ？なかなか手に入らなくない？」

「うちのマンションの下がコンビニだから」

「そうなんだ！それって３丁目のあのマンション？」

美保と橋本さんが話してる。

なんだかそれが奇跡みたいで嬉しい。

いじめはきっとなくならないし、明日からどうなるのか分からない。でも不思議と怖くないのはそれでも一緒に居てくれる人がいるから。

いじめはなくならないけど、
ひとりじゃなかったら耐えられる。

それで踏まれても踏まれても立ち上がって耐え続けたら、自分の強さに気付いて、

弱いのはそうする事でしか優位に立てない
いじめていた奴らだと知るのだろう。

橋本さんはもう大丈夫だ。

その笑顔を見て現在世界の自分と重ねた。私は
ダメだったけど逃げてしまったけど、いじめの先にあるのは絶望だけじゃない。

きっと希望もあると、そう信じてる。