翼をなくした天使達

そのあと美保と下らない話で盛り上がって、外は夕暮れ時になっていた。

お腹空いたから何か作ろう！と言ったのは美保で正直期待をしたけど、どうやら私と同じで料理は苦手らしい。

「待って。それ卵の殻入ってない？」
「えー大丈夫だよ！」

「ダメだって。あ、これもじゃん！」

結局簡単なチャーハンが出来たのは３０分後。
美保は几帳面でしっかり者だって思ってたのに苦手な事に関しては適当なんだって初めて知った。

「ふ、ふふ」

対面に座る美保が何故か突然笑いだした。

「なに？どうしたの？」

私の顔になにか付いてる？まさかご飯粒……は付いてないし、後ろを振り返っても特に笑えるものは見当たらない。


「なんかさ、あかりと居るとやっぱり楽しい」

美保はそう言って二人で作ったチャーハンを口に入れた。

ギューッと胸が締め付けられるように痛くて、
お腹が空いてるはずなのに手が止まる。

「私本当にあかりと友達になれて良かった。
こんな風に笑える友達ってなかなか出逢えないもんね」

私も美保のおかげで沢山楽しい事を知れた。

友達は時に怖いし明日の敵になるかもしれないし、今でもどこかで鍵をかけている。

でももし一生の友達に出逢える時があるなら、
こんな瞬間なのかな………

「あ、あかりが切ったネギ繋がってるっ！」

あははとまた笑う美保。

テーブルの下の私の足が透けていた。太ももをつねるとそれは元に戻った。

「ん？どうかした？」

「ううん、なんでもないよ」

心がどこかに引っ張られる感覚。

ずっとずっと避けていたけど、
考えないようにしてたけど、

現実の私が呼んでいる気がする。