翼をなくした天使達
●その先へ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして週末が終わって学校が始まった。
少し早めに着いた私は教室ではなく屋上へ。空は灰色の曇り空できっとどこかで雨が降ってるんだと思う。
私はゆっくりと足を進めてある場所で止まった。
手すりから下を覗きこむとかなりの高さで唾をゴクンと飲み込んだ。
私はあの日、この場所で身を投げた。
あの時は本当に目の前が真っ暗で怖いって感情は一切なかった。今こうして怖いと感じてしまうのは生きる事より死ぬ方が怖いからだ。
私は私をやめたかったはずなのに?
全てを終わらせたかったはずなのに?
あの時は空っぽだったのに今は重たいほど心に色んな感情がある。終わらせたいと願った先にこんな世界があるなんて夢にも思わなかったけど今はそれに感謝すらしてるんだ。
「……んだよ、また先約かよ」
眠そうな目でドアを開けたのは蒼井だった。
またネカフェからの登校なんだろうか。なんだかんだ言って学校には毎日来るし授業はサボるけど早退はしない。
実は根は真面目なんじゃないかって、思ったりしてるけど本人には絶対言えない。
「私さ、1番迷惑かけたのって蒼井だよね」
「はっ、今さらかよ」
ちょっと独り言だったのにちゃんと聞いてるし。
………地獄耳だって事もちゃんと覚えておこう。