翼をなくした天使達



「───おい、ブス」

涙で視界が曇る中、いつものように聞こえた言葉。全然余裕じゃないくせに顔は余裕を保とうとしていて口元は若干笑ってる。

「なに、バカ!」

元はといえば蒼井がこんな場所に立てなんて言うのが悪いんじゃん!いつも急で計画性ないし私の意見なんてムシするしさ……


「お前から何度もされた俺達は死んだのかって質問。いま教えてやる」

「はぁ?なんで今なの」

こんな時じゃなくていいよ。私の手すりを握る手も限界だし足も宙に浮いてるみたいに感覚がない。

「……いつも誤魔化してたけど」
「なに?もっと大きな声じゃないと聞こえない!」

「いつも誤魔化してたけど!………本当は死んでなければいいってずっと思ってた。だって助けたくて一緒に落ちたのに助けられなかったなんてカッコわりーじゃん」

もう、本当にバカじゃないの……

なんで今言うの?いつもみたいに痴話喧嘩でいいから言い返したいのに声にならない。

蒼井が助けようとしてくれた命。

その命が私を呼んでるのなら拒否できないじゃん
……寂しいけど怖いけど、捨てても構わないと思ってた命なのに今はそれが大切すぎてたまらない。

ごめんね。1度は馬鹿な事をしてしまったけれど。

もう一回私にチャンスをくれる?


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